2007/5/10 Thursday

マスカラ付けすぎると黒い涙になる

Filed under: 映画・DVD, 思い出 — doku-kinoppy @ 12:23:31

茸です。

昨日のPEPEと同様、私も近年片付けられない女化が進んでおり、にっちもさっちも行きません。
どこに何があるのかさっぱりわからんのでたまに片付けると小銭が出てきたりしてなんだか得した気分!うふっ!思い出の品に何年かぶりに再会することもあるよ!きゃっ!

さて現在公開中の『黄色い涙』ですが、原作者の永島慎二先生は昔大変お世話になった方です。
以前勤めていた会社の真裏に住んでらして(永島先生曰く会社の方が裏で自分ちが表だ、という事でしたが)、会社の屋上に上って下を見ると、永島先生のお宅の庭が丸見えでした。広いお庭に大きなプールがあって、魚が泳いでいたっけな。

ご近所さんだったので、永島先生は毎日お茶を飲みに来られてました。お茶を飲んで、煙草吸って、社長と喋って、1〜2時間まったりされて帰られる。毎日その繰り返しです。私達も気軽にお話しさせていただいて、大先生なのに気さくな優しい方でした。
永島先生といる日々があまりに日常だったので、何を喋ったかとりとめなくてほとんど覚えていないのですが、
「今度みんなでハワイに行きましょう。マリファナ吸いに」
って仰っていたのは覚えてます。結局行かなかったけど、行きたかったですな。

ハワイには行かなかったけれど、湯布院と柳川に社員旅行で10日ほど行った時には、永島先生にもご一緒して頂きました。社員旅行に10日て。今にして思えばその間の業務はどうしてたのか、そんなことしてよく月刊誌が出せてたな。

花見では、一緒に着ぐるみを着て頂きました。私はピンクのゴジラ。永島先生は牛。酒に酔ってちょっとエロくなっておられました。その記憶は翌日にはなかったようです。

『かかしがきいたかえるのはなし』という本を担当させていただきました。
もちろん新装版ですが。
担当するにあたり、永島先生の作品を全て読みました。
漫画家っていうのは、魂を削って紙に命を写し込んでいる人のことをそう呼ぶんだ。
そう思いました。
優れた作品を描く人ほどかたわで、幸せな人生を送るために生きているのとは違うのだと。
『漫画家残酷物語』は、数ある名作の中でも特に好きな本です。

それが永島先生とさせていただいた唯一の仕事だったと思います。あとは遊んでばっかりでしたから。
本が出来上がったときに、『ガロ』の初代編集長だった長井勝一氏に呼ばれ、天ぷら屋でお食事をさせていただきました。
「この本を作ってくれてありがとう」
と言われました。

その後すぐ長井勝一氏は亡くなられ、一昨年永島先生も亡くなってしまった。
亡くなられたときは、後悔の念でいっぱいでした。
あんなにお世話になった方だったのに、亡くなられる前は何年も顔も見せなかった。
病状が悪いという話は聞いていたのに。
なんだかいつでも会えるような気がしていたので、わざわざ会いに行くのが恥ずかしかったのかもしれません。阿佐ヶ谷のCobuに行けば、今でも煙草を吸いながら珈琲を飲んでいる永島先生に会える気がする。

そんなわけで当然『黄色い涙』を観に行ったのですが、劇中で嵐の二宮和也演ずる漫画家の青年が、編集者にこんなもん売れるか!もっと売れる物を描け!と言われながらも一夏かけて魂込めて描き上げた作品が『かかしがきいたかえるのはなし』だったのです。もちろん本物じゃないが、永島先生の絵にそっくりな絵で下絵からペンが入っていくかえるが、かかしが見られて、胸が詰まりました。

いやあ、良かった。ホントに。
去年、永島先生のお墓参りに鎌倉に行ったんですが、今年も行こうかな。
「映画、良かったですよー」って言いに。

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