キノコの次はナマコに侵される
茸です。
みなさま、「このわた」って知ってますか?海のコリコリちゃん、ナマコのはらわたです。
珍味として珍重され、鮨屋などで食べることができますが、普段の家庭の食卓にそう頻繁には上らない、なんだかたまにしか会えない遠い親戚の、でも大好きな伯父さんみたいな、会ったらちょっと緊張しちゃう〜みたいな、そんな存在だと思うのですが、どうでしょう。
そんな、ちょっとしたアイドル「このわた」を先日作家さんに頂き、若干緊張の面もちで家に連れ帰り、昨夜膝を正して初夜の花嫁を新床に迎える気持ちで、頂きました。
んん、ん、んまあ〜〜〜〜〜い!!
さすがこのわたちゃん!おいしくてよ!あなた名器よ!
久しぶりな事もあって、私はガツガツとこのわたのカラダをむさぼりました。もうこの辺で…と、途中何回か思ったのですがやめられず、歯止めの利かなくなった私は欲望のままに何度も何度も、このわたを求めたのです。
それがいけなかったのでしょうか。
「ぐうっ!」
何度目かのこのわたが、私の喉に引っ掛かりました。
慌ててお茶を飲みます…が、流れていかない。
「がはっ、ぐほっ!」
指を喉の奥まで突っ込みましたが、吐き出せません。
こ、このわたちゃん…!
後悔先に立たず、私は過ぎた愛情は相手にとっては重荷なんだな、と、知りました。
このわたと私、決裂…。
苦しいまま、昨夜は眠りの床につき、今朝になってもまだいる…このわた。
なんだよ!しつけぇんだよ!あやまったじゃねえか!
このわたに逆ギレする私。
逆ギレがカンに障ったか、ますます態度を硬化させるこのわた。
ああ…!もう…もう…、私達だけでは解決できないところまで来てしまったのね…。
こうなっては仕方がない、第三者に間に入ってもらいましょう…。
レッツ病〜院〜。
病院でも内科から耳鼻咽喉科へ回され、ファイバースコープという細長い管を鼻から入れられ苦しんだ割に発見できずまた内科へ回され、今度は内視鏡を…という段階にまで話はこじれてしまいました。
でも内視鏡を扱える先生が今日はいないということで、明日また行かなければなりません。
離婚でもめて家庭裁判所に何度も足を運んでいる気分です。
しかも内視鏡、ただ見るだけで8千円もするんだって。更にこのわたを取り除く場合の費用も合わせると1万2千円くらいになるんだって〜。
…なんかもう、どうでもよくなってきた…。
このわた、なあ、わたちゃんよ、まあ聞けよ。
お前、私に怒ってるんだろう?
私の事が、もう嫌になったんだろう?
だったらさあ、いつまでもそんなところにいないでさっさと出ていけばいいじゃん。
なのにいつまでもいるってことはさあ、本当はお前も私の事が、まだ好きなんじゃないの?
………。
なんだか腹が据わってきた。決めた。明日、病院行かない。キャンセルする!
私、このまま一生、このわたと生きていく!
あれ?
なんかちょっと、楽になってきた。
このわた、出て行った?
いや、完全には出て行ってないけど、ちょっと下の方に落ちた?
よくわかんないけど…なんだろ、ちょっと寂しい…みたいな…。
せっかくせっかく、このわたと死ぬまで一緒にいる決心したのに、その途端に出て行っちゃうの?
ねえ…、なんとか言ってよ…、このわた…。
このわたは、今日の時点ではまだいるけど、いつかいなくなるかもしれない。
一生は、きっといれない。
でもね、このわた。いつか完全に別れるときが来ても、私、今日のこと忘れないよ。
ちゃんと言ったことなかったけど、なんかケンカしちゃったりしたけど、本当は…。
大好きだよー!このわたー!
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